
「一社でも多くの中小企業の「価値」を次世代に繋ぐ」を理念に、中小企業のM&A仲介事業を展開する株式会社経営承継支援。
設立10年で、これまで400件以上の支援実績を誇り、今期中に500件を超える数字が見込まれています。今回は、同社を創業された代表取締役社長・笹川敏幸様に、これまでのご経歴や創業の経緯、そして今後の展望についてお話を伺いました。
1990年、金融機関にて外貨資金の取引業務に従事。その後、大手M&A専門会社にて中堅・中小企業の事業承継の解決手段としてのM&A仲介業務に従事。全国の商工会議所及び会計事務所と事業承継・M&A業務のアドバイザリー案件を多数経験。2007年に監査法人系コンサルティング会社にてM&Aアドバイザリー部設立に参画。上場企業及び中堅・中小企業の戦略的M&A業務に従事。2012年からは、東京都事業承継・引継ぎ支援センター(経済産業省が設立した中小企業のM&A支援機関)のサブマネージャーに就任。公的立場から中小企業のM&Aアドバイザリー業務に従事。2015年に(株)日本経営承継支援(現、経営承継支援)を設立。代表取締役就任。
Q:これまでのご経歴や会社創業の経緯について、お聞かせいただけますか?
笹川様:新卒で入った金融機関では、外貨資金の取引業務に従事していました。私がM&Aというものを初めて知ったのは、今から25年ほど前、知人の紹介を通じてM&A専門会社へ転職したときのことです。
それまでの私は、M&Aについて新聞で目にする程度の知識しかありませんでした。しかし、中小企業には後を継ぐ人がいないケースが多いこと、後継者不在の場合には廃業という選択肢を取らざるを得ないこと、そして、それを防ぐ有効な手段のひとつがM&Aであることを知りました。
当時、M&Aはまだ十分に浸透しておらず、特に中小企業のオーナー様の間では、ほとんど理解されていない状況でした。譲受企業様を探索し、シナジーがあると感じてご提案をしても、正面からアプローチするだけでは、なかなか話を聞いていただけないケースも多くありました。そのため、金融機関や会計事務所の先生方など、すでに信頼関係が構築されている方々を通じてご紹介いただき、提案を行う形が中心でした。当時は、こうした紹介ルートによる活動が、接点創出だけでなく、マッチングや成約に至る上でも欠かせないものでした。
その後、7年ほど勤めたのち、監査法人系コンサルティング会社のM&A部門にお誘いいただき、上場企業のM&AやTOB案件、持株会社を設立した上での上場案件など、さまざまな案件に携わらせていただきました。
さらにその後、前職で東京商工会議所と連携してM&A相談やM&A推進に携わっていたこともあり「東京都事業承継・引継ぎ支援センターの立ち上げに参画してほしい」とお声がけをいただき、サブマネージャーとして就任しました。
支援センターでは、小さな会社様のご相談も受け付ける公的機関としての役割や重要性を感じながら、やりがいを持って事業運営に携わっていました。一方で、価格面の話や契約書の条項に関する話など、具体的なアドバイスは公的機関として行ってはいけないという線引きもありました。実務については、外部の民間支援機関にすべてお任せする形だったのです。
自分であればアドバイスできるようなご相談であっても、それができないことに、次第にもどかしさを感じるようになりました。であれば、自分自身が民間の支援機関を立ち上げ、中小企業の事業承継問題に関わるM&Aの実務支援を行おう。そう考えて、2015年に会社を創業しました。今から11年前のことになります。

Q:創業後のお話をお聞かせください。
笹川様:お伝えしたような経緯で会社を興したのですが、当然ながら環境も未整備で、資金も潤沢ではなく、信用もない状態からのスタートでした。決して簡単な道のりではありませんでしたが、そうした苦労も含めて、仲間と一緒に楽しみながら日々の業務に取り組んでいました。
2期目に、当時20代の若手人材を2名採用しました。彼らにより多くの成長機会を与えるには、組織を大きくし、役割や裁量を広げていく必要がある。そう考えたことが、創業期のひとつの転換点だったと思います。
具体的なアクションとして、3期目にファイナンスを行い、1億円の資金調達を実施しました。2期目の時点で売上は2億円を超え、利益も出ていましたので、必ずしも資金調達が不可欠だったわけではありません。ただ、会社をスピード感を持って成長させていくためには必要だと考え、現在の株主の皆様にご出資いただきました。
Q:そこから先は、順調に成長軌道に乗った形でしょうか?
笹川様:やはり、いわゆる成長痛のようなものはありました。新規採用においては、経験の豊富さを重視するあまり、役割設計において適材適所の観点が十分ではなかったことが反省点です。M&Aの実務経験が豊富であることと、マネジメントができることは必ずしも一致するものではないという前提を、組織としてより深く認識する必要がありました。
採用方針そのものに問題はありませんでしたが、個々の強みや適性を踏まえた配置と役割設計の重要性を改めて学ぶ機会になったと捉えています。組織を成長させたい思いから意思決定をしたものの、その過程で適材適所で役割を設計することの重要性を痛感しました。

Q:4期目には、三井住友信託銀行様との資本・業務提携もされています。この件についてもお聞かせください。
笹川様:資本・業務提携の前から、個人的なご縁もあり、顧客をご紹介いただく関係性はありました。信託銀行の個人側のお客様は、医師や中小企業のオーナー様などの富裕層の方が多く、事業承継の課題を抱えているケースも少なくありません。一方で、社内には専門で対応する部署がなかったため、「当社と連携を強めたほうがよいのではないか」という話が、先方の社内であったそうです。そうした流れの中で、2018年9月末に今回の提携に至りました。
現在、M&A業界全体の信頼性が揺らぐような事象も起きている中で、金融機関から出資を受けている“銀行系のM&A会社”というポジションは、お客様に安心していただける要因のひとつになっていると感じています。
現在に至るまで、出向者を出し合うなどの人事交流も続いており、ご紹介いただく件数も年々増えています。関係性は、より一層深まっていると感じています。また、対外的な信頼を得られたことで、全国各地の金融機関様との関係強化・連携が進んだことも、大きな副次的効果でした。各地の金融機関様からご紹介いただく案件も増え、成約実績も着実に積み上がっています。
Q:昨年11月には、ソニー生命保険株式会社との連携を図るリリースも出されています。
笹川様:上場企業を含め、数多くのM&A会社がある中で、ソニー生命保険様が当社をパートナーとして選び、事業承継領域におけるサービス提供を独占的に取り組んでいくことを決めてくださったのは、これまでの当社の業務や対応をご評価いただけたものだと受け止めており、大変ありがたく、嬉しく思っています。

Q:御社は経営理念に共感して入社を決めた方が多いと伺っています。
笹川様:当社の経営理念は、「三方良しの経営承継を通じて、一社でも多くの中小企業の『価値』を次世代に繋ぎ、日本経済の維持・発展に貢献します」というものです。「売り手よし・買い手よし・世間よし」、すべての関係者にとって満足いただける“三方良し”の経営承継支援を行ってきました。
この理念に共感して入社してくださる方は多く、近年は特に増えていると感じます。
当社では、銀行系M&A会社として、以前からコンプライアンスの強化には取り組んできました。また、サービス品質にばらつきが出ないよう、4人1組のチーム制を採用し、高品質な案件対応を実現する体制を整えています。そうした取り組みが、成約後のお客様からの感謝の声となって届き、その評価が提携先にも伝わる。そうした好循環が生まれていることは、掲げてきた経営理念が着実に形になってきている証だと思っています。
Q:採用や育成に関するお考えをお聞かせください。
笹川様:人それぞれ考え方や価値観はあると思いますが、プレイヤーとして成果を出し続けるキャリアを、50代・60代まで全うするのは、決して簡単なことではないですし、M&Aのプロフェッショナルとして素晴らしいと思います。
一方で、私は、入社してくれた方には、ビジネスパーソンとしての成長機会をできるだけ多く提供したいと考えています。リーダーやマネジメントの立場で組織を牽引する経験も、ぜひ積んでもらいたいですね。
当社では、提携先様との関係構築や、そこからの顧客紹介を通じた案件対応が数多くあります。三井住友信託銀行様をはじめ、日本全国の金融機関様とプロジェクトを組む機会も少なくありません。
関係者が増えれば、その分、調整の難しさも出てきます。しかし、そうした経験を乗り越えて案件をクロージングできたとき、ビジネスパーソンとして、もう一段上のステージに自分自身を引き上げることができるはずです。実際に社員を見ていても、そうした経験を経て、視座が上がり、調整能力が大きく向上していると感じます。
それは、当社で働く上での大きな魅力のひとつだと思っています。
Q:最後に、どのような方と一緒に働きたいか、メッセージをお聞かせください。
笹川様:世の中が変化していく中で、自分自身も絶えず変化し、成長し続けていける。そうした成長意欲の高い方と、一緒に仕事がしたいですね。
大人になってから自分自身を成長させる機会は、趣味やスポーツももちろんあると思いますが、多くの方にとっては「仕事」なのではないでしょうか。真剣に業務に取り組み、お客様に向き合い、課題を解決していく。そのプロセスを、チームメンバーや私たち役員もサポートしていきます。
また、提携先との協業によるプロジェクトワークに加わってもらうことで、さらに大きな成長機会も提供していきたいと考えています。

2015年設立のM&A事業会社。累計成約実績 400件超と業界でも高水準の成約実績を誇る企業。2018年に三井住友信託銀行株式会社が発行株式の23.8%を取得し持ち分適用子会社化し、グループ会社として事業展開を行っている。