インタビュー

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株式会社経営承継支援 業種特化部 部長 大森 隼様


「一社でも多くの中小企業の「価値」を次世代に繋ぐ」を理念に、中小企業のM&A仲介事業を展開する株式会社経営承継支援。   設立10年で500件以上の支援実績を誇り、業界でも有数のM&A支援会社として知られています。                   今回は、業種特化部部長の大森隼様に、転職の決断から現在の仕事、採用・育成への思いまでお話を伺いました。


  • 大森様プロフィール
2009年立教大学理学部を卒業後、三菱UFJ証券株式会社(現 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)入社。以後10年にわたり、個人富裕層・中小企業オーナー向けの資産運用コンサルティング業務に従事。その間、株式会社三菱東京UFJ銀行(現 株式会社三菱UFJ銀行)への出向も経験。2019年に株式会社経営承継支援に入社。ヘルスケア領域を中心に数多くの成約実績を重ね、2022年よりマネージャー、2026年4月より部長として、部全体の事業運営と組織マネジメントを担う。

数学科から証券会社へ——「営業で生きる」と決めた就職活動

――まずは、大森さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

大森様: 大学は理学部でした。もともとは教員になりたいと思っていたこともあり、理系の中でも数学を選びました。しかし、就職活動の過程で損害保険会社のアクチュアリーという仕事を知り、数字を扱うビジネスの面白さに惹かれました ただ、勉強をしていくうちに、その道の難しさも感じるようになりました。

その後、改めて自分がやりたいことを考えたときに、「営業をやりたい」「無形商材を扱いたい」という思いが強いことに気づきました。最終的に入社を決めた証券会社のほか、無形商材の営業職という軸の中で人材紹介業界やブライダル業界なども見ていましたが、新卒でしか入りにくい会社の一つだと感じた証券会社を選びました。

学生時代から株式投資に親しんでいたこともあり、その馴染みも意思決定の後押しになりました。


証券会社での10年——一度届かなかったM&A業界への挑戦が、仕事への向き合い方を変えた

――証券会社でのお仕事はいかがでしたか?

大森様: 三菱UFJ証券では、約10年間リテール営業を担当しました。個人のお客様はもちろん、中小企業のオーナー様とも数多く接点を持たせていただきました。特に中小企業のオーナー経営者の方々は、仕事とプライベートが良い意味で混ざり合っているというか、生き方そのものがビジネスに表れている方が多く、お話を伺うだけでも非常に勉強になりました。

ただ、入社して数年経った頃、一度転職活動をしたことがあります。所属していた会社の体制が大きく変わり、同期も多く辞めていくタイミングでした。そのときに、M&A仲介会社の選考を受けたことがあるんです。結果としては、当時の営業成績が足りず、書類で落ちてしまいました。

その経験は、自分にとって大きな転機でした。「営業をやるのであれば、こういう世界にも通用する実績を出さなければいけない」と思ったんです。そこから仕事への向き合い方が変わりました。先輩のやり方を素直に真似るようになり、少しずつ成果も出るようになって、仕事がより一層楽しくなっていきました。

――その後、本格的に転職を考えられたきっかけは何だったのでしょうか。

大森様:いくつかの出来事が重なりました。

一つは、社内で希望していた部署への異動希望が叶わなかったことです。希望する部署に数年続けて応募をしていたのですが、最終的に通りませんでした。もちろん、自分自身に足りない部分もあったと思います。ただ、そのタイミングで「この会社で自分が思い描くキャリアを実現するのは難しいのかもしれない」と感じました。

もう一つは、担当マーケットの変更です。それまでは中小企業経営者向けのマーケットを担当していて、その仕事に面白さを感じていました。しかし、人事異動で別の顧客層を担当することになり、だんだんと仕事に対する興味が薄れていきました。

経営者の方々と話していると、事業のこと、従業員のこと、次の世代への承継のことなど、学びの多い話をたくさん聞かせていただけます。私はそういう仕事が好きだったのだと思います。だからこそ、もう一度、経営者の方々と深く向き合う仕事に挑戦したいと考えるようになりました。

当時は30歳を過ぎ、子どもが生まれたタイミングでもありました。自分のキャリアをこのまま延長線上で考えるのではなく、新しい挑戦をするなら今しかない。そんな思いで、M&A・事業承継のフィールドへの転職活動を始めました。


経営承継支援を選んだ理由——「確実に成長できる環境」を見極めた

――複数社を検討する中で、経営承継支援への入社を決めた理由は何だったのでしょうか?

大森様:転職活動では、複数のM&A仲介会社を受け、有難いことに大手同業他社からも内定をいただいていました。ただ、私は30歳を過ぎて未経験でM&A業界に入る立場でした。自分のことを、ある意味では「オールドルーキー」だと感じていたんです。だからこそ、どの会社であれば早く、そして多くの経験を積めるのかを重視していました。

大手企業に勤めていたため分かるのですが、大手企業には大手企業の魅力が多分にあります。一方で、当時聞いていた話では、社内政治のようなものも少なからずあるのではないかと感じていました。自分の力不足で成果が出ないなら納得できますが、社内政治に負けて上手くいかないというのは避けたい。そう思っていました。

その点、当時の経営承継支援はまだ10数名規模の会社でした。社内政治があるような規模ではありませんし、面接でお会いした代表の笹川を含む4名と話す中で、「この人たちとこのような形で机を並べて一緒に働くんだろうな」というイメージがとても明確に湧きました。

配属ガチャのような不安が少なく、自分が成長できる環境がある。M&Aプレイヤーとして生き残っていくための経験を、早く、濃く積める可能性がある。そう感じたことが、経営承継支援への入社を決めた大きな理由です。

――三井住友トラスト・グループとの資本業務提携も、入社決定の後押しになりましたか。

大森様:選考中に三井住友トラスト・グループとの資本業務提携の記事を日経新聞で見ました。正直に言うと、それが入社の決め手だったわけではありません。ただ、家族を安心させる材料にはなりました。

当時の経営承継支援は、規模だけを見ると小さな会社でした。家族からすれば当然不安もあったと思います。その中で、「大手金融機関の資本も入る会社なんだ」と説明ができたことは、安心材料の一つになりました。


入社して感じた、経営承継支援の「経験を積める環境」

――実際に入社してみて、当時の判断は正しかったと感じていますか。

大森様:はい。入社してから、「ここに入らなければよかった」と思ったことは一度もありません。2019年1月に入社し、最初の成約は同年の7月頃でした。当時としては決して早い方ではなかったかもしれません。ただ、日々の仕事を通じて、多くの経験を積めている実感がありました。

入社当時、今のような業種特化の形はまだなく、調剤薬局を専門に扱う部署に配属されました。証券会社や保険会社など、リテール営業を経験してきたメンバーが多く、自分にとっては非常に馴染みやすい環境でした。

調剤薬局のオーナー様は、自分が思い描いていた中小企業オーナー像に近い方が多く、前職で感じていた「中小企業オーナーと向き合う仕事の面白さ」を改めて実感できました。

――調剤薬局から、医療法人、介護、保育へと領域が広がっていったのですね。

大森様:そうです。もともとは調剤薬局の専門チームから始まり、その後、介護、医療法人へと領域を広げていきました。

業種特化部はもともと、ビジネスモデルや決算書がシンプルな調剤薬局が、M&Aや事業承継の未経験者でもスキルを高めやすい特長があるため、専門チームができたのがきっかけでした。その後、介護領域のチームが組成され、さらに医療法人までカバーするようになりました。保育園は数年前からパッケージ化して営業できるようにしたいと考え、チームで取り組むようになっています。

ただ、業種を広げるにあたっては、これまでにいろいろな試行錯誤がありました。買い手がいるのか、売り手にニーズがあるのか、我々のビジネスとして成り立つのか。そうした観点で検討し、トライアンドエラーを重ねてきました。

その中で、現在の業種特化部が注力しているのが、調剤薬局、医療法人、介護、保育の4業種です。いずれも専門性が求められる領域ですが、だからこそ業種に特化して取り組む意味があると感じています。


業種特化部のいま——4業種に絞り込み、入社1年以内に全員が成約

――現在の業種特化部の状況について教えてください。

大森様:業種特化部は、先ほどお伝えした通り、調剤薬局・医療法人(病院・クリニック)・介護・保育の4業種に特化しており、現在は私を含めて16名の組織です。

最大の特徴は「一気通貫」のスタイルです。M&A業界では売り手担当と買い手担当を分けるのが一般的ですが、業種特化部ではチーム内で売り買い両方を対応します。業種を深く理解しているからこそ、売り手にも買い手にも素早くコミュニケーションができ、案件をスピーディに進められる。これが成約率の高さにつながっています。

実際、未経験で入社したメンバーを含め、入社後1年以内に1件も成約していないという人はこれまで一人もいません。

――未経験者にとっても経験を積みやすい環境なのでしょうか。

大森様:そう思います。業種を絞っているからこそ、業界知識を深めやすく、案件の流れも理解しやすい。M&Aや事業承継の未経験者でも、早く一通りの経験を積める環境があります。もちろん簡単な仕事ではありませんが、案件数が多く、売り手・買い手の双方に関われるため、成長機会は非常に多いと思います。

他社との違いで言えば、「インバウンド」と「アウトバウンド」の両方があることも特徴です。金融機関など提携先からのご紹介もありますし、自分たちで直接アプローチする活動もあります。ハイブリッド型で経験を積めることは、未経験者にとっても、経験者にとっても魅力になり得るのではないでしょうか。


金融機関との提携関係——「業種特化」と「愚直なPR活動」が案件機会を生む

――提携先である金融機関からの案件紹介をうまく獲得できている理由は何でしょうか?

大森様:正直なところ、特別な工夫というより、愚直に「これが得意です」と発信し続けた結果だと思います。金融機関の担当者の方からも「特化している業種を明示してもらうと案件を振りやすい」とよく言われます。業種特化部が扱う4業種を入り口として打ち出すことで、「あそこに頼もう」という流れが自然にできてきました。

また、実際に成約に至ると、その金融機関内で「この業種であれば"経営承継支援"に相談しよう」という流れが生まれます。そうした実績の積み重ねが、次の案件紹介にもつながっているのだと思います。

加えて、三井住友トラスト・グループとの資本関係も、金融機関や士業の先生方から見た安心感につながっていると感じます。仲良くしていただいている金融機関の方には「最後は人だよね」とご指名いただくこともありますが、関係構築の最初の入り口としては「大手金融機関の資本が入っている会社だから安心して紹介できる」という声をいただいています。

その他には、着手金がないこと、小規模案件にも対応することも、金融機関から声をかけていただきやすい要因だと感じています。最低手数料が高額だと二の足を踏む先も多い中で、小さい案件でも丁寧にやり切る実績をこれまで積み重ねてきたことが、信頼関係構築につながっていると思います。


経営承継支援の魅力は、自由で相談しやすい雰囲気

――実際に働く中で、経営承継支援の魅力はどこにあると感じていますか。

大森様:一つは、相談しやすい環境です。代表や役員をはじめ、社内には経験豊富なプレーヤーや専門性を持ったメンバーが多くいます。案件で困ったときに相談しやすいことは、安心して仕事を進める上でも、スキルアップの面でも大きいと感じています。

もう一つは、自由度が高く、風通しの良い社風であることです。社内政治のようなものはありませんし、足の引っ張り合いや蹴落とし合いも一切ありません。退職したメンバーからも、「分からないことを聞きやすい環境は他社と比べても抜群に良い」と言われたことがあります。

一方で、組織力やチームワークで仕事をしている分、これからは一人ひとりの「個」の力をさらに強くしていきたいとも考えています。組織として支え合える環境があるからこそ、その中で個人がより強くなっていく。そういう組織にしていきたいですね。

――ワークライフバランスについてはいかがでしょうか。

大森様:M&Aの仕事なので、常に決まった時間で終わる仕事ではありません。私自身、遅くまで働く日もありますし、出張や会食もあります。

ただ、家庭に時間を使わなければならないときに、それができる環境はあると思います。メンバーの中には、中抜け制度を利用して夕方に子どもを保育園へ迎えに行き、食事や入浴を済ませてから在宅で業務に戻る者もいます。私も子どもの送迎をすることがあります。

仕事と家庭の時間配分を常に5:5にするのは難しいかもしれません。ただ、必要なときに家庭を優先できる柔軟さはある会社だと思います。


「守破離」で育てる、次世代のリーダー候補

――16名の組織の長として、人材育成、マネジメントで大切にされていることは何ですか?

大森様: 私は「守破離」のプロセスを徹底しています

まずは原則的なルールや進め方を100%インプットし、理解をする(守)。それができて初めて、イレギュラーに対応するための応用(破)へと進めます「ルールは、原則はこうだと思いますが、今回はこのような事情があるので、このようなやり方をしていいですか?」という形で相談してもらうよう指導をしています。

最初から我流に走るのではなく、まず基本を大切にすること。それが結局、M&Aという難易度の高いビジネスで長く生き残るための近道だからです

――大森さんはどのような方と一緒に働きたいとお考えですか?

大森様:私が入社を決めた際にも、働く方との相性の良さを感じたことが一因でしたので、相互にそういったものを感じられるように、カジュアルな雰囲気で面接選考を行うことを大切にしています。加えて、なるべくメンバーレベルの社員にも(面接に)参加してもらうようにしています。会食(選考)も相互理解を深める意味ではとても重要だと思っています。

そうした相互理解を深めた上で、私が一緒に働く方に求めるのは、派手な「エース」よりも、チームを支え運営する「要」のようなタイプです 。自分の成果だけでなく、周りをどう活かしてチームとして勝つかを考えられる人 。そして、新しいことに知的好奇心を持って学び続けられる人です。なお、未経験の方も金融業界出身者に絞っておらず、入社後には学んでいく必要がありますが、応募時点での財務知識は一切問いません。バックボーンが異なるメンバーが多いほど、様々な知見がチームに還元されると考えています。

私自身も「(大企業の)会社の看板」ではなく「個」の力で評価される喜びを、この会社で知りました 。大きな組織の歯車になるのではなく、自分の成長が会社の成長に直結する手応えを感じたい方に、ぜひ当社の門を叩いて欲しいです


業種特化部の未来——「花形」へ、そして社内の人材輩出部署へ

――最後に、業種特化部を今後どんな組織にしていきたいとお考えですか?

大森様:一つの目標として、「花形ポジション」にしたいと思っています。

未経験の方には業種特化部で2〜3年キャリアを積んでもらい、業種理解の深め方や提携先との関係構築の方法を身につけた上で、業種特化部内でリーダーを目指すなど、専門性を高めながら成長できる環境をつくりたいと考えています。

業種特化部で培った「深く調べる力」や「業種知識」は、M&Aアドバイザーとして活躍していく上で大きな武器になります。社内の人材育成拠点としての役割も担っていければと考えています。

成長途上の組織ですので、経験者の方にとっても、管理職・幹部候補のポストはまだまだ空いていますし、インバウンド・アウトバウンドのハイブリッドスタイルで働けるのは他社にはない魅力だと思います。

業種特化部は、今期末の2027年3月までに20名体制を目指しています。未経験からM&A・事業承継の実務経験を積みたい方、あるいは経験者として組織づくりやマネジメントにも関わりたい方にとって、挑戦の余地が大きい環境だと思います。

未経験の方、経験者の方問わず、多くの方に、業種特化部の雰囲気や仕事の面白さを知っていただきたいです。


株式会社経営承継支援
(三井住友トラスト・グループ)

2015年設立のM&A事業会社。累計成約実績 500件超と業界でも高水準の成約実績を誇る企業。2018年に三井住友信託銀行株式会社と資本業務提携を結び、三井住友トラスト・グループの一員として、事業承継M&Aを中心とした各種支援に取り組んでいる。

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