人材紹介の営業職【 RA / CA 】について[人材業界の仕事図鑑]
はじめに
人材紹介会社での仕事は大きく分けて、法人担当(RA)と個人担当(CA)を分業で行うか、両方を1人で担当するかで分かれます。
・RA(「アールエー」と言います)は、リクルーティングアドバイザーの略
・CA(「シーエー」と言います)は、キャリアアドバイザーの略 になります。
大手人材紹介会社は、RA、CAの分業傾向が強く、ブティック型、業種特化型の人材紹介会社は一気通貫型(RACA両面対応)のケースが多くなっています。
また、社内には、候補者獲得を専門で行うマーケティング部隊や集客担当者、またリサーチャーと呼ばれるチーム専属、コンサルタント専属で候補者をサーチする方を置いている人材紹介会社もあります。
今回は人材紹介会社の人員の中で最も数の多い、RA(リクルーティングアドバイザー/法人営業)、CA(キャリアアドバイザー/個人営業)について説明をさせて頂きます。
(※尚、一気通貫型(RACA両面担当)の場合は、これらの業務を1人で行う形となります。)
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.RA(リクルーティングアドバイザー/法人営業)について
- 3.RAの業務プロセス
- 3.1.顧客探索(新規顧客開拓、既存顧客深耕)
- 3.2.商談(信頼関係構築、経営・事業・組織課題のヒアリング、人材要件のヒアリング、人材紹介契約書締結)
- 3.3.求人作成・情報共有(求人票への落とし込み、社内(CA)への企業情報&求人情報の広報・情報共有)
- 3.4.進捗対応(CAと共に応募者への選考フォロー、内定後の応募承諾獲得への諸対応)
- 4.RAに求められる能力、スキル
- 4.1.商談折衝能力、交渉力
- 4.2.業界、企業理解
- 4.3.文章力、広報力、社内営業力
- 4.4.(対法人、対CAに対しての)スピード対応、正確な対応
- 5.CA(キャリアアドバイザー/個人営業)について
- 6.CAの業務プロセス
- 6.1.面談前各種準備(声掛け、日程調整、ご経歴を踏まえた仮説立て)
- 6.2.面談対応、キャリアカウンセリング
- 6.3.求人案件のご案内
- 6.4.推薦対応(応募書類(履歴書・職務経歴書)作成、推薦状作成、推薦)
- 6.5.進捗フォロー(日程調整、面接対策、選考結果共有等)
- 6.6.内定後フォロー(現場との懇親調整、現職の退職交渉、入社手続きフォロー等)
- 7.CAに求められる能力、スキル
- 7.1.関係構築(話しやすい、相談しやすい雰囲気を作り上げる人柄、人間性、誠実さ)
- 7.2.傾聴力(求職者の良いところを探し、引き出す力。また何を大切にされているかなどの価値観を把握し、候補者を深く理解する力)
- 7.3.問題定義、目標設定をサポートするための構造化スキル、思考力(対話、カウンセリングを通した問題の定義化、目標設定)
- 7.4.専門性(専門性を基とした今後のキャリア形成についての助言、企業/求人情報提供、説明力、具体的な転職活動支援(書類添削、面接対策の知識、ノウハウ))
- 7.5.コミュニケーション力、調整力(RAや企業との各種調整、交渉、伝達業務)
- 7.6.事務処理能力、ITツールなどの活用スキル(正確性とスピード感、またマルチタスク推進力、プロマネ力)
- 7.7.営業意識と倫理観
RA(リクルーティングアドバイザー/法人営業)について
法人担当の営業として、企業経営者、役員陣、(自分のチーム、組織で採用を考えている)部門責任者、人事担当者と商談、打ち合わせを行い、企業の経営課題、事業課題、人事・採用・組織課題のヒアリングを通じて、求めている人材要件の摺り合わせや採用、育成についてのソリューションを提供します。
人材紹介業は、ご紹介した候補者様が採用に至った後、入社のタイミングで売上(企業様への請求)が発生する成功報酬型のビジネスモデル故に、商談機会の創出と人材紹介契約の締結に対するハードルは(前課金型の求人広告の法人営業職などと比べると)決して高くないのですが、商談を経て、採用支援、採用成功に至るまでが難しく、法人担当RAの力量が問われます。
RAの業務プロセス
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顧客探索(新規顧客開拓、既存顧客深耕)
商談(信頼関係構築、経営・事業・組織課題のヒアリング、人材要件のヒアリング、人材紹介契約書締結)
求人作成・情報共有(求人票への落とし込み、社内(CA)への企業情報&求人情報の広報・情報共有)
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進捗対応(CAと共に応募者への選考フォロー、内定後の応募承諾獲得への諸対応)
顧客探索(新規顧客開拓、既存顧客深耕)
所属先の企業様によって、営業活動には差があると思いますが、若手、入社して間もない頃は、法人企業を新規で開拓、アプローチすることがあるかと思います。
業界でチーム分けがなされている場合は、金融業界、化学メーカー、医療機器メーカー、広告会社、IT・ソフトウェア企業、小売・流通企業、不動産業界、コンサルティングファームなど、チームで担当する企業群で、過去に取り引きがない先へアプローチをお電話などで行います。所属先の企業様によって、営業活動には差があると思いますが、若手、入社して間もない頃は、法人企業を新規で開拓、アプローチすることがあるかと思います。業界でチーム分けがなされている場合は、金融業界、化学メーカー、医療機器メーカー、広告会社、IT・ソフトウェア企業、小売・流通企業、不動産業界、コンサルティングファームなど、チームで担当する企業群で、過去に取り引きがない先へアプローチをお電話などで行います。
昨今は、toBマーケティングを強化する企業が増えており、お問い合わせを頂いたお客様へアプローチするケースや社内の他部署からの引き合い、紹介を頂き、訪問するケースなども増えているかと思います。尚、2年目、3年目となると、自身が担当する既存顧客(加えて先輩、同僚から既存顧客を引き継ぐケース)が中心になり、新規開拓比率は徐々に下がるかと思います。
商談(信頼関係構築、経営・事業・組織課題のヒアリング、人材要件のヒアリング、人材紹介契約書締結)
お打ち合わせをさせて頂く先として、最も多いのは人事部(中途採用担当者、責任者)になります。
現状の採用活動全体のヒアリング(今期の中途採用計画と進捗状況等)から個別具体的な募集ポジションの温度感(緊急度、急募感が高い案件等)を伺うなどして、まずはお困りの案件、ポジションへの支援をどうすれば我々ができるか否かを考えます。
■■ 経営層・事業部長層との商談・面談機会創出は、ハイクラス求人や希少性の高い求人をお預かりするチャンス ■■
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最後に、人材紹介契約締結のための各種ヒアリング(雛形が企業様側のものを用いるか、自社雛形を用いるか、紹介手数料は何%か、支払いサイトはどうなっているか、契約方法は書面か電子契約か等)を行い、こちらはこちらで契約締結に向けて準備を進めます。
■■ 紹介手数料率(フィー)の交渉もRAの重要な役割 ■■ |
お打ち合わせをさせて頂く先として、最も多いのは人事部(中途採用担当者、責任者)になりま
現状の採用活動全体のヒアリング(今期の中途採用計画と進捗状況等)から個別具体的な募集ポジションの温度感(緊急度、急募感が高い案件等)を伺うなどして、まずはお困りの案件、ポジションへの支援をどうすれば我々ができるか否かを考えます。
求人作成・情報共有(求人票への落とし込み、社内(CA)への企業情報&求人情報の広報・情報共有)
会社に戻り、社内システムに企業情報、契約諸条件、そして求人情報の入力を行います。会社に戻り、社内システムに企業情報、契約諸条件、そして求人情報の入力を行います。
決められた情報をただ単に入力していくだけではなく、【会社の特徴】、【事業概要と将来性】、【仕事のやりがい】などその会社の魅力を求人票上でどう伝えるか、また、【こんな方に来て欲しい】という「求める人材像」について、必須条件、歓迎条件を簡素に入力するだけでは、ターゲットが不明瞭になり、どんな方に薦めたらいいのか、CA側が掴みかねてしまいますので、できる限り具体的に歓迎条件、求める人物像などについては言葉に落とし、求人票に掲載をします。
その後、CA側へ社内広報活動(社内営業活動?)を行い、新しい求人が入ったこと、そしてその魅力やこういう方に応募して欲しいというメッセージを(メールや直接CAチームのデスクに足を運ぶなどして)届けます。こうした社内広報活動には各社でルール(毎朝のMTGで伝達タイムがある等)や取り決めがあるかと思います。
進捗対応(CAと共に応募者への選考フォロー、内定後の応募承諾獲得への諸対応)
CA側から推薦者が発生しますと、RA側が企業側との間に入り、選考フォローをCAと共に行います。事前に求職者から質問があった場合は、RAが企業人事に確認し、また面接当日の詳細や注意事項などもRA側がひとつひとつ確認をし、CAを通して、求職者へ届けます。また選考後の結果やフィードバック等も同様です。内定、内定承諾、入社に至るまで、CAと共に、企業側担当として、フォローを続け、(入社に至る)ご縁を紡ぎます。入社日に入社確認を行い、無事に入社されていることが確認できた後に、企業側へ紹介手数料の請求を行います。
(※尚、大学生の就活支援、新卒人材紹介事業の場合は、内定承諾のタイミングが請求タイミングとして多いようです。)
※尚、大手人材紹介会社の場合、RAが他事業も含めた顧客人事とのハブになるケースもあり、中途採用の課題解決、人材紹介サービスを通じての採用支援が最大のミッションですが、新卒採用、採用業務管理(ATS提案)、中途媒体(自社の転職サイト)掲載、適性検査、人材育成などのソリューション提供も行う機会があります。
RAに求められる能力、スキル
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商談折衝能力、交渉力
業界、企業理解
文章力、広報力、社内営業力
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(対法人、対CAに対しての)スピード対応、正確な対応
商談折衝能力、交渉力
企業経営者、人事担当者様との信頼関係構築(事前に業界、当該企業について徹底的に調べて商談に臨む、調べられれば担当者のバックグラウンドも知っておく、余裕を持って企業オフィス近くに向かう、採用HPなどを見た上での採用課題の仮説立て等の準備が信頼関係構築をするための前提)が情報開示や(コンフィデンシャル)案件の共有、開示に繋がります。故に、過去に法人折衝の経験がある方をRAでは求められます。また、成功報酬というビジネスモデル故に、案件を獲得すればいいという訳ではなく、魅力的な企業様との契約や魅力的な案件を獲得する必要がRAには求められます。また逆にどういう点が魅力なのか、どういう方にとって魅力なのかを見出す力が必要です。
【ボードメンバー、経営理念、事業内容、事業優位性、会社・事業のフェーズ、案件の希少性、役割、直属の上司、待遇、働きやすい環境、制度】などその要素は多岐にわたり、絡み合いますが、それがどういった方にとって魅力的なのかをCA側にアピールすることが、分業型で人材紹介業を行う上では必要となります。
(※魅力的な求人でないと、求人過多の昨今、CAにもその先の求職者にも目に留まらない。また求人案件の希少性をアピールするために、独占求人を獲得出来るか、また例えば1ヶ月間など期間を区切ってその間は自社限定求人に出来るか等の交渉力も必要。また決定実績を積み重ねた後には、フィーUPの交渉もRAが行う仕事となります。)
業界、企業理解
上述とも重複しますが、業界、企業理解を踏まえた、将来性、魅力をアピールすることが必要で、そのために業界展望や企業の優位性、ビジネスモデルの理解などが担当営業には必要です。こうした理解がある場合、「この会社、この担当営業の方とは話ができる。」、「我々のことを理解してもらえる。」、「採用支援の側面から、当社の事業成長に寄与してくださるパートナーだ。」と企業様側に思って頂ける可能性が高まり、それが優先的な案件情報のシェアや事業責任者との直接的なMTGのセットなどに繋がります。
【 生み出される好循環 】
理解を深めると、信頼関係が深まり、事業責任者、幹部社員とのMTGセットも実現し、希少な案件且つ必要十分な情報量のある企業情報、求人情報に繋がり、CAの説明のしやすさ、候補者の応募承諾の取りやすさ、理解を深めている前提での面接選考、ご縁を紡げる可能性UPに繋がります。
文章力、広報力、社内営業力
RA自身が「この企業、この求人は魅力的だ!」と思っていたとしても、それが社内(CA)、求職者に対して伝わらなければ、応募者は集まらず、担当企業の採用成功に至りません。商談後、内容を求人票に落とし込み、魅力をアピール、またこうした方にはぜひ積極的なご紹介をお願いします!などのCA側への具体的なアピールを行うことで、応募者を集めることに繋がります。分業体制で行う場合は、こうしたCAに対しての社内営業力も問われます。CAチームへの求人案件共有については、デイリーなどで定期的なMTG(1人のRAあたり数分ずつ等)を実施している会社もありますし、また、RAが担当企業人事に掛け合い、来社頂き、CA向けに企業説明会を実施する等、CAへの働きかけも工夫と努力が必要です。
(対法人、対CAに対しての)スピード対応、正確な対応
担当する法人企業様も日々目まぐるしく経営状況や組織の状況が変わり、採用活動にも変化が生じます。求人案件のCLOSEに対して、迅速にCA側へ共有すること、また案件の新規OPENに対して、スピーディーにCA側への展開をすること、候補者から届いた質問に対して、企業側へ迅速に確認し、フィードバックすることなど、間に入る法人担当RAは、正確性とスピード感が求められます。
【売り手市場下、好景気下で求められる、RAの力量】 昨今の売り手市場下では、求人媒体に掲載をしても応募が集まらない企業もあるため、若年層も含めた広範囲の求人情報が特に業界大手の人材紹介会社には多く集まります。そのため、既存顧客から届く依頼に対する対応だけでも手一杯、という状況になりがちなのですが、【求職者にとって魅力的な企業との出会いの創出や求人案件情報の獲得】をしなければ、求人過多の状況では、顧客に候補者、求職者との出会いを創出することが出来ません。 そのため、
という新規獲得アプローチを行うことも大切です。2019年に担当していた20社の担当企業が来年、再来年に同様の採用活動を行っているとは限りません。常に自身の担当領域の状況に応じてアップデートを行う必要があります。また、アップデートという観点では既存顧客の最新情報、最新状況を把握し、それを求人票の加筆修正とCAへの展開、共有を行うことも大切です。「常に新しい情報を提供してくれるRAは信頼できる。」(※ご紹介する求職者様に誤った情報提供する恐れがないため)と認識されれることもチームで仕事を進めていく上で大切なポイントです。 |
CA(キャリアアドバイザー/個人営業)について
個人担当として、求職者の面談を日々行います。スカウト、自社DBを通じた面談調整から面談前の準備、面談当日にはキャリアカウンセリングを通じて、キャリアの棚卸しや今後のキャリアに関する考えや希望を伺い、具体的な案件紹介を行います。転職活動を進める意向が求職者様にあれば、具体的な転職活動のフォロー(案件紹介、書類作成支援、推薦対応、面接対策、RAも交えた企業との各種調整業務)を行います。
CAの業務プロセス
- 面談前各種準備(声掛け、日程調整、ご経歴を踏まえた仮説立て)
- 面談対応、キャリアカウンセリング
- 求人案件のご案内
- 推薦対応(応募書類(履歴書・職務経歴書)作成、推薦状作成、推薦)
- 進捗対応(日程調整、面接対策、選考結果共有等)
- 内定後フォロー(現場との懇親調整、現職の退職交渉、入社手続きフォロー等)
面談前各種準備(声掛け、日程調整、ご経歴を踏まえた仮説立て)
面談への呼び込み、面談日程調整については、大手人材紹介会社の場合は、集客担当者、アシスタントが対応をするケースが多く、CA自身の空いているスケジュールに面談予定が続々と組まれていきます。一方、RACA両面対応のコンサルタントの場合、リサーチャーやチームアシスタント、自社サイトを通した登録などから割り振りが成されることもありますが、外部DB、転職サイトからのスカウト、返信があった場合の連絡、日程調整対応を自ら行うことも多く、自分で探さす、日程調整せず、面談が組まれることは、大変恵まれている仕組みです。
しかし、昨今満足いく集客を行うことが各社難しくなってきており、年々1CAの面談数が減っていると耳にします。そこで、自らの手で、自社DBを検索し、掘り起こし(再度の面談機会の提案)を行うケースが増えているようです。ですので、大手に入ったからと言って、自身で呼び込みのための手を全く動かさないという訳ではございません。
お膳立てして頂くにしても、自身で面談調整を行うにしても、その次のステップである、面談前の事前準備をしっかり行うことに変わりはありません。経歴書情報が事前にある程度開示され、把握できる場合は、会社、業務、またこれまでのキャリアの変遷を見て、退職検討理由や今後のキャリアの方向性についても、こう考えているのではないか?こういう理由で転職を検討しているのではないか?という仮設立てとそれを踏まえた準備を行います。
面談対応、キャリアカウンセリング
アイスブレイクから入り、関係構築ができてきてから、本題に入ります。序盤の話の流れや候補者様の活動状況によって話の進め方、順序は変わるものですが、相談に来ていただいた方が何を話したいか、何を相談したいかに耳を傾けることは大切です。また対話を通じて、候補者様ご本人様の本当に実現したいことがクリアになったり、優先順位付けもつくようになれば、活動も進めやすくなります。
求人案件のご案内
どういった状況、フェーズかに依りますが、転職活動を前に進めたいという意向がある方の場合は、具体的な案件情報のご案内、それについてのご説明をさせていただきます。そうではない場合は、面談、キャリアカウンセリングをもって一旦終了となりますが、社内のシステムに情報や履歴を残しておきます。
尚、求人情報のご案内ですが、
- CAが紙で出力して求人票を手渡しするケース
- マイページ、アプリを通して、求人情報を共有するケース
- RAが対面、TEL、メールなどで求人情報を案内するケース(※初回面談の中盤から終盤に、面談ルームに入り、RAが案件説明をするケースもある)
など各人材紹介会社によって差がございます。
推薦対応(応募書類(履歴書・職務経歴書)作成、推薦状作成、推薦)
応募意思を取れた場合、応募書類を準備し、推薦対応を行います。自社の雛形がある場合は、それにそって情報入力を依頼し、CAが添削、追記のアドバイスなどを行い完成させます。完成した書類と共に候補者様の推薦文を添えて、企業に推薦対応を行います。
進捗フォロー(日程調整、面接対策、選考結果共有等)
書類選考の結果、面接日程調整対応、また面接対策、結果共有など、選考フローの過程で行われる諸対応を丁寧に、また迅速に行います。
内定後フォロー(現場との懇親調整、現職の退職交渉、入社手続きフォロー等)
内定、内定承諾となった場合、入社前に必要な諸対応、手続きを共有したり、退職手続き、交渉についての相談役となったりと入社までのサポート、フォローを行います。
(※尚、大手人材紹介会社の場合、スカウトなどの声掛けや面談日程調整を集客担当、マーケティングチームが行い、CA自身のスケジュールに面談予約がどんどん組まれる形にもなります。その集客へのパワーを割かないかわりに、面談前準備やカウンセリング、案件紹介、候補者対応に時間を注ぐことが可能となり、(両面型の人材紹介会社や集客業務を自ら行う人材紹介会社と比べて)多くの候補者対応を同時並行で行う形となります。)
CAに求められる能力、スキル
- 関係構築
- 傾聴力
- 問題定義、目標設定をサポートするための構造化スキル、思考力
- 専門性
- コミュニケーション力、調整力、交渉力
- 事務処理能力、ITツールなどの活用スキル
- 営業スキルと倫理観
関係構築(話しやすい、相談しやすい雰囲気を作り上げる人柄、人間性、誠実さ)
まず、軽いお話ではなく、(人生を左右する)込み入った相談事ですので、そうした話を、このCAさんにしたいなと求職者様に思って頂けるような空気感を作り上げることが出来るか否か、逆に相談したくない、何か話しにくいな、と感じてしまうような空気を作ってしまいますと、淡白な転職相談(転職理由や今後の希望についてヒアリングする)だけで面談が終わってしまい、以後、音信不通...ということもございます。人と人ですので、相性のようなものはもちろんございますが、(本題に入る前の)関係構築の力はCAにとって、とても大切です。
尚、来談者中心アプローチの提唱者であるロジャース(Rogers.C.R.)は、カウンセリングの基本的態度として、次の3つを示しています。
(出典:木村周『キャリア・コンサルティング 理論と実際』雇用問題研究会2010年39頁以下、209頁)
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傾聴力(求職者の良いところを探し、引き出す力。また何を大切にされているかなどの価値観を把握し、候補者を深く理解する力)
上述の「話しやすい、相談しやすい雰囲気作り」が出来、関係構築がある程度出来れば、次に大切なのは傾聴力です。これまでの人生、キャリアについてどのような決断を下し、何を大切にされてこられたのか、学生時代から現在に至るまで様々な話を伺いながら、その方の人生観、価値観(大切にしたいこと)について、またこれから目指していきたい姿などを確認、理解を深めていきます。
問題定義、目標設定をサポートするための構造化スキル、思考力(対話、カウンセリングを通した問題の定義化、目標設定)
対話を重ねながら、どのようなことを今後解決したいのか、具体化させていきます。またその解決のために行動したい意思を求職者、候補者自身がしっかりと持てるよう、心理的ステップに配慮をして、無理のない進め方をします。強引に話をCA側が進め、他者依存的になってしまうと、転職活動を具体的に進める過程の中で、求職者に迷いが生じやすくなってしまいます。
専門性(専門性を基とした今後のキャリア形成についての助言、企業/求人情報提供、説明力、具体的な転職活動支援(書類添削、面接対策の知識、ノウハウ))
解決したいことの具体化が出来、求職者自身がそれを解決したいという意思が固まった場合、CAは具体的な今後のキャリア設計、また具体的な求人情報の提供、説明を行います。時期はどうするのか、今すぐ進めるのか否か、動く(転職する)ことでのメリット・デメリット、また業界や企業に関する採用募集状況や個別求人についての補足説明など、候補者様のご年齢、キャリアや現職のご状況も鑑みた時期的なアドバイスを行い、ご本人様も(具体的な話を)望めば、応募に向けた準備を開始します。
応募には「履歴書」、「職務経歴書」などのドキュメント作成が必要となりますので、初めての転職活動の方に対しては、その基本的な作成方法や雛形の提供などを行います。まとめることで、自身の経歴、キャリアの棚卸しになりますし、自身が得た経験やスキルについて、端的にまとめるとどういう点なのか、などは実際に面接で聞かれることを事前に自身で考え、整理することは面接の対策としても有効となりますので、そうした点を助言しながら、また添削を行いながら完成に向けたサポートを行います。面接対策については、模擬面接のような形式で行う場合と、想定される質問に対して、考えを整理するサポートを対話やテキストに落として実施する方法など様々ございます。また個別企業、ポジションについての事前理解を深めるための情報提供や質問にもCAは答えます。
コミュニケーション力、調整力(RAや企業との各種調整、交渉、伝達業務)
CAは、RAと企業人事サイドと求職者の間に入って、転職活動の支援を行いますので、その双方とのコミュニケーションが頻繁に発生します。選考結果が届けば、求職者に伝え、面接日程の候補日リクエストが届けば、求職者への確認の後、企業側へ伝達します。また、選考過程で、他社様の選考が早期に進んでいた場合に、選考スピードを早めて頂く交渉を(RAを介して)する、またオファー後の待遇面や配属等の条件交渉等で、RAを介して、またRAと共に企業様と話し合い、交渉を行うこともあります。候補者様の状況、企業様の採用状況、双方の状況に応じた柔軟な対応、また交渉を行う必要がございます。特にCA側としては、候補者様の状況やお気持ちをしっかり把握することが最も求められます。(※選考過程で候補者様の大切にしたいことの優先順位や応募先の志望度も変化が発生することはございます。)
事務処理能力、ITツールなどの活用スキル(正確性とスピード感、またマルチタスク推進力、プロマネ力)
複数の候補者様の対応を同時並行で行いますもので、正確性とスピード感がとても大切です。自身が対応を怠ったことで、遅れてしまったことで、応募の機会を失ったり、面接日程調整が出来ず、再調整になってしまった...、などとならないように、候補者様から質問を受けた場合、RAに迅速に確認する(※緊急性の高い場合、メールを投げるだけではなく、RAにTELする、遠くない場合、RAの席に直接足を運んで確認する等)、候補者様から面接候補日を頂いた場合、すぐに候補日をメールするなど、自分がボールを長時間抱えない(※タスクを滞留させない)ことが大切です。仮に少し返答に時間を要する場合は、ノーレスではなく、「少々時間を頂戴します。」という連絡を入れておくと、相手方も対応中だという理解をし、待って頂けますので、そういうキャッチボールを行うことが大切です。PC業務、メールやTELでの業務をこれまでの仕事でそれまでやってこなかったという方にとっては、慣れるまで少々大変だと思いますが、各社入社後の導入研修(CA研修)もございます。コツコツやり方を覚えて、滞留させることを極力無くし、スピード感を上げていけるようにしていきましょう。
また各種ITツールの活用がございます。各社毎に利用する業務管理システムに差がありますし、それ以外にPCにて利活用するツールも多数出てくるかと思います。それらへの慣れ、また極力定型化、形化して、業務効率を上げる工夫が必要です。
営業意識と倫理観
有料職業紹介事業を営む人材紹介会社、転職エージェントは民間企業であり、成功報酬型のビジネスモデルで事業運営をしているが故に、最終的な内定、入社に至らない限り、売上、収益が上がりません。ですので、各CAには売上目標、支援人数の目標がついてまわります。個人営業職である、という認識は必要ですし、数字だけではなく、ユーザー満足度評価なども加味して人事評価を下している先もありますが、最も分かりやすく出てしまうのは、各CAの転職支援実績になります。
ただ、であるからと言って、強引な斡旋をしていい訳ではもちろんありませんし、虫のいい情報だけ伝え、企業・求人情報について正確な情報共有を怠ること、また意思確認を明確に取らない状態で推薦対応を進めることなどは絶対にしてはならない行為です。こうした倫理観にかけた行動を取るCAは結果として、求職者からの信頼を得られず淘汰されます。
1人1人の人生に大きな影響を及ぼす仕事をしている自覚と責任感を持ち、上記でいろいろと記載したような姿勢やスキルを持って臨めば、いいスパイラル(良い求職者とのご縁が、また良い求職者とのご縁を生む、クチコミのサイクル等)がまわり、高い成果を上げ続けられるCAになっているかと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
上記に7つ挙げさせて頂きましたが、未経験でCAにチャレンジされる方が大半ですので、入社後に研修やOJT(※先輩社員の面談同席など)を通じて学び得て頂く形となりますが、自身のこういう点は自身のこういう経験はCA業務に活かせると思います、こういう経験はCAとして成果をあげていく上でプラスになると思います、というようなアピールは面接選考にて求められます。これまでの業務を振り返って、こういう経験は活かせるというものをぜひ面接選考前に整理なさってください