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アルバイト求人情報「an」サービス終了。52年の歴史に幕(パーソルキャリア株式会社)

人材ビジネス、HR領域に関わる方であれば、恐らく誰もがご存知のアルバイト求人情報サイト(過去は情報誌)の「an」がサービスを終了するという一報が飛び込んで参りました。日本で初めてのアルバイト求人情報サービスの歴史に幕が下ろされる。本当に歴史的なニュースに時代の変化、求人情報事業の転換期だと感じざるを得ません。

アルバイト求人情報「an」サービス終了に関するお知らせ


パーソルキャリア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:峯尾太郎)は、2019年11月25日(月)をもちまして、当社の運営するアルバイト求人情報サービス「an」< https://weban.jp/ >の求人広告事業及び関連サービスの提供を終了することを決定しましたので、お知らせいたします。

これまで「an」をご愛顧いただきましたお客さまには改めて御礼申し上げますとともに、サービスを終了いたしますことをお詫び申し上げます。


■事業終了の理由
アルバイト・パート領域の求人広告事業において、市場環境ならびに競争環境、顧客のニーズの急激な変化に伴い、ここ数年、競合優位性の低下、収益性の悪化が続いておりました。
こうした事業環境を受け、今回、パーソルグループ、パーソルキャリアの経営陣で慎重に検討を重ねた結果、アルバイト・パート市場において、従来のビジネスモデルでは顧客からの期待に十分に応えていくのは難しい、と判断し、現状の求人広告事業を終了し、経営資源を市場の急拡大・サービスの複層化が進展している中途採用支援・転職支援領域(転職サービス「doda」の人材紹介事業や転職メディア広告事業)に集中していくという経営判断に至りました。

「an」は、1967年に「日刊アルバイトニュース」として創刊し、今年で52年目を迎え、日本で最も歴史のあるアルバイト求人情報サービスとして市場を開拓し、多くの人と組織の最適なマッチングを提供してまいりました。今回、掲載課金型のアルバイト求人広告サービスとしては一度役割を終えますが、アルバイト・パート領域の採用ならびに就業の課題を解決する新たな事業創造は継続して進めていきます。

そして、「an」事業に携わる人員においては、中途採用支援・転職支援領域(転職サービス「doda」の人材紹介事業や転職メディア広告事業)を中心に再配置し、サービス強化を図ってまいります。

このニュースが飛び込んで来た際には、ただただ驚きしかなかったのですが、マーケット状況や経営戦略上の判断が記載されていたIR資料を拝見し、(IR資料があるページはこちら

「an」事業の人員(約600名)を、より生産性の高い「doda」(事業)へシフトし、「doda」の成長性を一層高めていく

という経営判断を下したのは正しい判断と感じました。

  • 情報誌から始めたこともあり、紙のビジネスモデルを捨てるのにあまりにも時間がかかった(2017年に紙媒体はサービス終了)
  • 同時にWeb/スマホ対応、強化が遅れた(併売していたので、注力できなかった)
  • (人材紹介業が業界2位でシェアも収益性も非常に高く)経営資源の投下の優先順位はかねてから低かった(のではないかと推察)
  • 学生援護会を吸収合併した際にも、欲しかったのは現「doda」だった(のではないかと推察)

アルバイト・パート領域(AP領域は)、マーケット規模は大きいですが、対象企業規模が広く、また営業エリアも広いため、営業人員が必要です。旧学生援護会は、かつては強力だった求人広告代理店網を駆使し、全国各地の「an」への求人広告掲載数を担保しており、その求人広告代理店自体が、時代の変化を受けて、顧客に世の中に必要とされるメディア、反響の良いメディアにシフトする(昨今ですと、売上が作りやすい新卒2大サイト(「リクナビ」、「マイナビ」)、掲載単価がアルバイト広告比で高い「リクナビnext」、「マイナビ転職」、また昨今では「indeed」の提案に力を注ぐ動きは強い等)のは生き残っていく上で不可避であり、「バイトル」など元来からWeb専業である強い競合企業との戦いも相まって、厳しい状況を打開することが非常に難しかったのだと思います。またIRにも記載がございますが、「doda」、「LINEバイト」など近しいソリューション提供、媒体提案を同時に行うことが、結果的に「an」の力、マーケットシェアを徐々に落とすことに繋がったのだと思います。

そんな中で、現状売上高も収益も高い、(リクルートキャリアに次ぐ)2位という立場である人材紹介事業と(リクルートキャリア、マイナビ、エン・ジャパンに次ぐ)業界4位である転職メディアの広告事業(doda)に経営資源を投下して、当該領域の売上とシェアを拡大する。それを一気に押し進めるには600名の社員を異動させることが最適、という判断は適切だと思います。

AP領域は、市場規模として踊り場に差し掛かっている様子が伺え、今後の他社の動向、また旧来型の広告モデル(枠売りモデル)がどこまで続くのか、またATS、社員のシフト管理も含めたAP領域のHRTechサービスの動きなども注視したいと思います。

一旦、コメントは以上とさせていただきますが、改めて追記をさせていただくかもしれません。

兎にも角にも、求人広告の先駆けである「an」事業にこれまで携わって来られた方に本当に敬意を表したいと思いますし、本当にお疲れ様でした、と心から申し上げたいと思います。

尚、詳しくはこちらをご覧くださいませ。


【続報】
尚、『LINEバイト』ですが、『マイナビバイト』と手を組む(業務提携)ことで合意したそうです。【『マイナビバイト』と『LINEバイト』 業務提携を締結(詳細リンク)】



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